こんにちは。
久賀塾の久保田です。
本を選ぶとき、なにを基準に選びますか?
作者が好きだから?
あらすじがおもしろいから?
映画の原作だから?
私は大抵、その時の気分と作者で選びます。
しっとりしたいときは恩田陸、味わい深い気持ちになりたいときは宮部みゆき、つらい気持ちになりたいときは重松清、熟考したいときは太宰治…。
クスリと笑いたいときはさくらももこのエッセイ。
タイムスリップしたいときは畠中恵の江戸小説。
頭を使いたいときはコナン・ドイルのミステリー。
どの著者の作品もハズレがないのでぜひ読んでくださいね。
最近はデジタルが便利ですから、kindleでサクッと買っちゃいましょう。
ただ…どうしても紙媒体で手にとってほしい本があります。
名作だから手元においてほしい、のではなく、『装丁がすばらしいから』です。
初めてブックデザイナーという職業を知ったのは、この本がきっかけでした。
声を出して笑うくらい内容も面白い、色んな人の「言い間違い」を集めた本なのですが…。
特筆すべきはその装丁にあります。
上記URLに飛んでもらえるとよく分かるのですが、本のデザイン全てが「間違って」います。
表紙と中の紙のサイズが合っていません。
紙質もバラバラ。
そもそもまっすぐな形ではなく斜めになっていたり、見えてはいけないテープが丸見えになっていたりします。
完全に印刷所のミスのような本です。
最高の遊び心ですよね、これ。
触っているだけで笑える本って初めて見ました。
そこから、どこの誰がこんなトンチキなことをしたのだろう、と調べてたどり着いたのが、ブックデザイナー祖父江さんの存在です。
この人、本当にすごくて…。
しながら、装丁でハチャメチャに遊んでいる。
他にもこんな本をデザインしています。
さくらももこの「あのころ」。
表紙にはちびまる子ちゃんのイラストです。
一見おしゃれなタイルアートに見えますが、よく見ると卵の殻に色をつけたものの集まり。
吉田戦車の「伝染るんです。」。
なんと、故意に同じページを2枚印刷したり、全くの白紙を挟んだりしています。
そうです。
「伝染るんです。」は私も持っています。
漫画の内容がそもそもブッ飛んでいるので、
「まあ吉田戦車の本ならこういうミスもあるか」
くらいに思って、白紙もページの重複もスルーしていました。
そんなに明確な遊び方をしているのに、『気づかせない』。
そして、とても見てみたいのにまだお目にかかれていない本もあります。
恩田陸の「ユージニア」。
いつもどおり作者買いした文庫本で、内容も非常に面白いミステリーで大変満足していたのですが…。
「あとがき」にあたる部分を見てひっくり返りました。
ハードカバー版の装丁を祖父江さんがやっている、と!
このときほどブックオフの100円文庫コーナーで本を買ったことを後悔したことはありません。
ミステリーなんです、この本。
だから表紙は、ある街の写真を敢えて『裏面に』印刷して、うっすら透かしてしか見られないようになっています。
プロローグは紙のサイズがバラバラで、どうみても乱丁です。
極めつけは本文の文字。
小説全体にただよう不安感を煽るように、全ての文字が少しだけ傾いています。
段落もガタガタで不揃いです。
そのようなこだわりが「あとがき」に全部書いてあって…。
本当にほんとうにハードカバー版で読み直したい、と思いました。
手にとって触れて、傾いた文字でもう一度物語に浸りたい、と。
でもこれが見つからないんです…!
書店にもない、ブックオフにも当然ない。
かといってネットで手に入れるのは嫌なんです、だって本のデザインを楽しみたいんだから、ポンと買って家に届いては意味がないんです!
そうして私は未だに「ユージニア」ハードカバー版に触れられていません。
絶対にいつか見つける。
みなさんも、家にある本で「あれ?」と思う装丁のものはありませんか?
もしあれば、ぜひ最後のページをめくって、祖父江さんが携わっていないか確認してみてください。
そして、ブックデザイナーで本を選ぶ、という選択肢を持って本屋に行ってみてください。
きっと色んなものが違って見えるはずです。
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